キモオタクの部屋

終わりかけの大学生のブログ。不定期に更新します。

ボーカロイドはどこへ行くのか?

先日、友人とドライブ(引っ越し作業)しているときに起こった出来事である。

Spotifyで適当に音楽を流していたら、少し機械的な声色の女性が歌っている曲が流れてきた。私はそれを人間が歌っている曲だと思ったが、友人はボカロじゃないか?と言う。調べてみると重音テトだった。

これは由々しき事態である。友人のように聞き分けられる人もいるとはいえ、私の貧弱な知覚の上ではボーカロイドが人間に追いついてしまったのだ。もしかしたらここが合成音声の到達点なのかもしれないが、より未来では十中八九ボーカロイドはより人間らしくなり、より聞き分けられなくなっていくだろう。

00年代にボーカロイドが登場し、世の中に及ぼした影響として大きいものが2つあると思う。楽曲製作の敷居を下げたこと、新しい音楽ジャンルを作ったことだ。

前者についてだが、ボーカロイドの登場によりバンドを組むことが難しいコミュ症ゲボカスオタク君(17歳)でも音楽を作ることができるようになった。パソコンとちょっとした機材さえあれば、女性の声を使って楽曲製作ができるというのは楽曲製作の敷居を大きく下げただろう。00年代~10年代にボカロPとして活躍し、現在はミュージシャンとして活躍している人が複数人いることは皆さんもご存じの通りである。ああいった上澄みは学生時代にバンド組んでたりするけれども。

後者についてが今回の本題である。人間の声でもない、楽器でもない「ボカロ」領域を定義したことで新しいジャンルが創られたが、ボーカロイドが人間に近づきすぎることによって音楽ジャンルとしての「ボカロ」がなくなってしまうのではないか?と感じた。ボーカロイドが人間の上位互換になるのか下位互換になるのかはわからないが、このまま人間の声とボーカロイドの違いが少なくなっていけば、歌詞を見なければ普通に何を言ってるかわからない、あのボーカロイド特有の音楽は少なくなっていったり、もしかしたらなくなったりするのかもしれない。歌詞を見なければ何を言っているか普通にわからないガビガビのボカロ音の心地よさが廃れてしまうと考えると非常に悲しい。

まあこんなことは俺の妄想で、人に近い声色のボカロ曲と従来のボカロ曲でジャンルの住みわけがなされ、新しい音楽ジャンルができるだけだとは思う。AIとかが登場する以前もどんどん聞き取りやすくなっていってたのに、時代の流れに逆らってクッソ聞き取りずらいボカロを使い続けてた人が一定数いたし、今後もそんな感じになるよ。500円賭けてもいい。でも人力の文化は本当になくなりそうだと思った。(了)